麻の襦袢

麻の襦袢

処暑を過ぎて
朝、明るくなるのが少し遅くなりました。
日中はまだとても蒸し蒸ししています。

今朝。
庭で草取りしていたら
ツクツクボウシの亡骸を見る。
こんなに小粒な蝉だったかしら。
でも今年はあまり鳴き声を
近くで聞いていない気がする。
もっと鳴いてちょうだいね。



最近には珍しいお直しの
依頼をいただきました。
和服です。

預からせていただいた時は、
縫い糸が朽ちて解けて
ばらばらになりかかっていました。

和歌山の神主さまが
お召しになる麻の襦袢ということで、

広島に嫁いでこられた娘さんが
お直し依頼してくださり、
お父様のお誕生日(9月)に
お渡しになるとのこと。

麻は薄地。とても目が詰まっており
しなやかで肌さわり優しいです。

針を入れてみると、おお〜。
すこぶる通りにくい。
これは見た目によらず、
かなりの縫い子泣かせな布ですね。
気が引き締まってきました。

こういう時は
できるだけ細い針を選びまして
四ノ三(しのさん)がいい。
和裁のくけ針としてお約束の針です。

久しぶりのクロバー四ノ三は
針先が絶妙な角度で、強度に粘りがあり
ほんといい仕事をしてくれる。

ただし、やはり針穴は小さい。
糸も細くなければ抜けがよくないので、
#60ポリエステルスパン糸を
二本どりで使ってみる。
うん、なかなかいい感じです。

和裁というのはシンプルだけど
繊細さと知恵もたくさん詰まっていたぞ。
と思い出しました。

丁寧に手縫いを続けていると
時の経つのを忘れ没頭している自分がいて
とても癒されていることに気がついた。

それと、尺さしですよね。
鯨尺(くじらじゃく)。
ずっしり重たい文鎮とひっぱり器のコンビ。

鯨尺と文鎮



このお道具たちと久々の再会をして
懐かしくよい時間を過ごさせていただきました。

ありがとうございました。

和裁 ひっぱり器